UNFPAカンボジア

UNFPAカンボジア:カンボジアの女性と少女たちをジェンダーに基づく暴力から守るプロジェクト

【プロジェクト概要】

Photo credit: United Nations Resident Coordinator Office Cambodia

 

目標:インターネットとデジタル技術を活用して、脆弱な立場に置かれている女性及び女性達を、ジェンダーに基づく暴力及びハラスメントから守ることを目指しています。本プロジェクトは持続可能な開発目標(SDGs)のうち、目標3(すべての人の健康と福祉)・目標5(ジェンダー平等の実現)・目標17(パートナーシップ構築)に寄与しています。

対象者:若者、特に縫製工場で働く女性、プノンペン市内の大学に通う学生
対象地域:プノンペン市
対象期間:2022年4月~2025年3月(3年間)*2022年2月よりApp開発のためのアセスメント調査を実施

カンボジアでは、30%以上の女性が生涯のうちに精神的・身体的・性的な暴力を経験しており、社会的経済的に弱い立場にある若者や縫製工場で働く女性達は、さらに多くの被害をうけていると言われています。2020年に行われた15歳~24歳の若者を対象とした調査では、39%が一年間のうちに一度は身体的な暴力を目撃したことがあると答えており、12%は実際に何らかの暴力を経験したことがあると回答しました。その被害は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてさらに深刻化していると考えられます。2021年3月に全国的なロックダウンが発令された後、暴力被害者ホットラインへの相談件数は約7倍に増加し、被害者向けの情報に関するインターネット検索数は、昨年度の約1.5倍に増加しています。カンボジアでは近年、暴力被害者のための政策やサービスは存在するものの、多くの暴力被害者はそれらの支援を受けることが出来ておらず、配偶者から暴力を受けた女性のうち約24%しか公的なサービスにアクセス出来ていないと言われています。暴力被害者を含む女性や若者たちが既存のサービスと情報にアクセス出来るような使いやすいツールが必要です。

昨今のデジタル技術の普及と発展は、世界中の女性と若者たちにこれまでにない可能性をもたらしています。カンボジアにおいても、都市部に住む15-24歳の若者のうち約60%が携帯電話とインターネットを利用しており、約90%がソーシャルメディアを利用しています。他国では、インターネットとデジタル技術の普及は弱い立場にある女性や少女達を暴力やハラスメントからも守るツールとして利用され始めており、暴力の抑止や被害者の保護を目的としたITシステムが開発・運用されています。一方で、スマートフォンやインターネットを利用する能力やアクセスの機会に格差が生じています。カンボジアでは特に性別・出生地・社会経済的地位などで不利な立場にある女性工場労働者の間で顕著であり、デジタル技術を通した教育や就労、新型コロナウイルスに関連した情報にアクセス出来る機会が乏しい状況です。

ウェスレー財団は、UNFPAカンボジア事務所とのパートナーシップを通して、UNFPAとカンボジア女性省が協働し、カンボジアの女性と若者達をジェンダーに基づく暴力から守ることを目的とした、スマートフォンアプリの開発と導入のプロジェクトの取り組みを支援します。このアプリを通して、ユーザーが性差別や暴力の形態、暴力行為やハラスメントへの対応方法についての基本的知識を身に付け、緊急時には身の危険を通報出来るようになることで、暴力被害の発生を未然に防ぐことを目的としています。さらに、ニーズに沿ったサービスを迅速に届けることが出来るよう、被害者へのサポートを提供しているセクター間の連携の強化につなげることも目的としています。