国際プログラム開催報告
フィリピンワークキャンプ 2018
参加者:9名
ワークキャンプ実施日程:2018年2月21日~26日
フィリピンケソンシティ郊外でワークキャンプを実施し、日本から大学生を中心とした9名がこのワークキャンプに参加。
ワークキャンプでは、リサール州ロドリゲス(旧名モンタルバン)の村でヘルスセンター建設作業の
一部を担いました。地域住民の多くは、ミンダナオ島やパナイ島などからの移住者や少数民族の人たちで、カトリック教徒が多いフィリピンの中でも、イスラム教徒が大半を占めています。住民の多くは、
正規の職に就いておらず、その日の暮らしにも困る生活を送っています。1日3食を満足に食べられない。安全な水を確保できない。子どもたちが毎日学校に通うことが当たり前ではないといった環境で暮らしています。
この地域で医療支援活動を行うTask Force on Urban Conscientization(TFUC)から保健医療体制の改善のためにヘルスセンターの建設を協力団体の合同メソジスト教会フィリピン女性委員会(United Methodist Church Board of Women’s Work)を通して要請をうけました。ヘルスセンターは、健康診断や、予防接種、簡単な治療ができる医療施設です。ヘルスセンター建設のために、住民の一人が自分の土地を快く提供してくれました。
3日間と限られた労働期間の中、大工と地域住民と共にヘルスセンターの基礎工事から実施。土地はワークキャンプが行われる前に更地としてある程度は整えられていたため、ワークキャンプ初日は、根切り作業(ショベルで土を掘り起こす工程)を行いました。重機を使用せず、ショベルで土を掘り起こす工程は参加者にとっては大変な作業でした。根切り作業の後は、配筋(鉄筋組み)を組む工程を実施しました。これも参加者には初めての経験でしたが、大工の指導を受け、見様見真似で配筋を組む工程を実施、そのあとはベースコンクリートの流し込みを行いました。
道具も作業もすべて手作業中心でした。3日間で出来上がったのは、建物の基礎のみでしたが、まずはこの地域に保健医療体制が整う一歩に寄り添うことができたのではないでしょうか。
参加者たちは、このワークキャンプに参加したことで、自分たちと訪問先の地域住民たちの暮らしの違いに驚くとともに、生きる力の違いを実際に自分事として感じているようでした。まったく見ず知らずの私たちを快く受け入れてくださったことへの感謝と、貧困とは何なのか、生きるとはどういうことなのかといった問いを働くことを通して考えるきっかけが与えられた様子でした。参加者たちはヘルスセンターの建設のワーク時に地域住民、特に子どもたちとの交流なども経験しました。
ワークキャンプの期間には、ケソン市にあるBatis Center for Womenというフィリピン人人身取引被害者女性の支援やその子どもたちや家族の支援をする団体にも訪問し、現在も続くフィリピンと日本の関係について改めて多くのことを学びました。またマニラにあるスペイン植民地時代の歴史的建造物の見学や、日本とも深くかかわりのあるサンチャゴ要塞にも訪問し、第二次世界大戦にて多くの捕虜がなくなった地下牢も見学しました。
ウェスレー財団では、ワークキャンプでは主に下記の4つから国際感覚をもった平和を担う仕える
リーダー(Servant Leadership)を育てることに寄与することを目標としています。
1)労働をすることで他者に仕える
2) 違う文化、言語、宗教と出会う
3)新しい出会いと違いを知ることから多様性を学ぶ
4) 世界(国際社会や社会問題)に目を開き関心を抱く
自己中心的な世の中に生きる私たちは、自分の周りの世界だけを見て、自分がいかに利益を得ることが出来るのかといったことを考えがちです。若い時に世界に出て、違う文化に触れることで、多くのことを学び、良い社会に変えていくための人材を育てることができると信じています。ウェスレー財団ではこれからも多くの研修を通じて真のリーダーを育てていきます。