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国際プログラム開催報告

サービスワークキャンプ2024inカンボジアスタッフ報告
Mission Service Work Camp 2024 in Cambodia スタッフ報告

2024年7月29日~8月6日に実施したミッションサービスワークキャンプのスタッフ報告をお読みください。

実施日時:2024年7月29日~8月6日
実施場所:カンボジア、プノンペン

2024年7月29日~8月6日までカンボジア、プノンペン郊外にてミッションサービスワークキャンプを実施し、日本、フィリピン、インドから大学生を中心に13名が参加しました。

今回のミッションサービスワークキャンプでは、現在建設中の技能訓練センターの一部の建設作業に加え、カンボジアの社会課題やそれに取り組むNGO・非営利組織の訪問、カンボジアの歴史およびキリスト教教育や教会について学ぶことを目的として、日本国内だけでなくアジアの若者からも参加者を募った初の試みとなるキャンプを実施しました。

カンボジアには多くの社会課題があり、その一つが人身取引です。人身取引の被害を防ぐために、合同メソジスト教会海外宣教部アジア地区のカンボジアで「技能訓練センター」を建設しています。この技能訓練センターは、義務教育を受けられなかった、または修了できなかった若者たちが、一定の技術を身につけ、安定した職に就き、収入を得ることを目的としています。

今回、携わった主な作業は、技能訓練センターの建物の中心に設置する階段の配筋された型枠にコンクリートを流し込む作業や敷地内の整地作業、建物を囲むコンクリート塀を塗装準備(泥やコケ、ほこりや古い塗膜の除去)などでした。また、建物の出入り口周辺の草木の伐採も行いました。

キャンプの1日目には、礼拝とオリエンテーションを行い、参加者、カンボジアのスタッフと初めて直接顔を合わせました。その後、合同メソジスト教会のカンボジアミッションオフィスを訪問し、オフィス見学とカンボジアで実施するミッション活動について学びました。また、Hagar Internationalの事務所を訪問し、人身取引の問題に取り組む団体の活動について学びました。Hagarは旧約聖書のハガルに由来する名前です。

キャンプでは毎晩、一日を振返る「Reflection」の時間を持ち、参加者がその日考えたことや感じたことを共有し合いました。この時間がそれぞれにとって刺激をもたらし豊かな時をもたらしていました。

 

2日目からは「ワーク=労働」が始まりました。前日のオリエンテーションの際に受入先の担当者で宣教師のPatrick氏からカンボジアでの人身取引の被害や実態について説明を受けました。海外で高収入を得られる仕事があると聞き、働くことになったものの、実際には聞いていた話と条件が異なり、働けば働くほど負債が増える奴隷のような働きから抜け出せない現状があること。また一度このような経験をしても約9割の人が同じ被害にあうことなどの説明を受けました。建設中の技能訓練センターは、このような被害を防ぐための希望となる説明を受けました。今回、私たちを指導してくれた現地のカンボジアのクルーの中には過去に人身取引の被害にあった方もいます。

初めての肉体労働で参加者の疲労も見られましたが、各々自分の出来ることを精一杯行う様子が見られました。午後は、カンボジアメソジスト教会の神学校Cambodia Methodist Bible Schoolを訪問しました。韓国人宣教師によって設立されたこの神学校は、インドネシアやシンガポールから神学を教えるために情熱をもって働いている先生がいます。カンボジア人の神学校の教師を増やすことが当面の目標とされていることを学びました。

3日目は、徐々に現地のクルーと参加者が身振り手振りでコミュニケーションを図り、交流を深めながら作業を行いました。主な作業はコンクリート塀の下作業として鑢(やすり)で壁を削る作業を行いました。暑い中、根気が必要な作業でしたが、昼食休憩では、クルーの人やクルーの家族と共にローカルフードを楽しみました。作業場所には、建設を行っている期間中、労働者の家族も住むことが、カンボジアでは当然のこととされています。

午後には、カンボジアの悲惨な歴史を学ぶため、Killing Fieldsを訪れました。雨季スコールの中、一人一人がこの歴史の場所であった出来事と向き合いました。

4日目は、労働の後、Jars of Clay Cafeというイギリスの宣教師によって始められた、人身取引の被害にあった女性たちに手に職(具体的には調理の技術)を身に着けることを目的とした、レストランで昼食を取りました。ここでは、Jars of Clay Cafeの働きを学ぶだけでなく、合同メソジスト教会カンボジアミッションオフィスが行うプノンペン市内の大学に通うために上京してきた女子学生が住む寮である「Susanna Wesley House Dormitory」の働きと、義務教育を修了することが出来なかった若い女性たちが調理やヘアメイク、ネイルの技術を取得することで生計を担うことができるように支援をするプロジェクトの「Shine Project」の働きについて学ぶ時を持ちました。

5日目には、労働の最終日を迎え、クルーへのお礼として、手紙や歌、ダンスを披露しました。最後の日の昼食は近くの食堂でクルーとその家族と共に食事の時を楽しみました。言語の壁がある中でも、身振り手振りや絵を描くなどして工夫し、最後の時間を楽しみました。

昼食後はメソジスト教会のカンボジアミッションの一つ、プノンペン市内のスラム地域にある就学前から小学校低学年の子どもたちのための放課後に集まるための子どもセンター(CSCFO)を訪問し子どもたちと折り紙や遊びを通じて交流しました。参加者たちは、短時間でもカンボジアの子どもたちと一緒に過ごすことができたことに、喜びを感じている様子でした。

6日目の日曜日は、シンガポールメソジスト教会の宣教活動の場所であるThird Placeを訪問し、子どもたちの教会学校の礼拝から、日曜日の礼拝を共に守りました。このThird Placeがあるプノンペン市内の場所は、多くの工場があり、工場で働く女性たちがThird Placeで行われる礼拝に集まります。部屋いっぱいに集まった子どもたちに、参加者たちが賛美とダンスを披露し、大人たちの礼拝でも賛美をしました。礼拝後に、シンガポールメソジスト教会から派遣されているCarol氏から、Third Placeの働きについて、また宣教師となった経緯を伺いました。その後、礼拝に集った皆さんと共に教会の方が作ってくださった昼食を共にいただきました。別れ際には、別れを惜しんで泣きながら見送りをしてくださる方もいました。女性たちの中には地方から仕事のために家族を離れ単身で来ている人たちがいます。若い参加者を見て、自分の子どものことを思い出していたのかもしれません。

午後は、Wat Phnomというプノンペンの都市名の由来となった寺院を訪れたあと、セントラルマーケットで自由に買い物をする時間を持ち、それぞれお土産や思い出の品を購入していました。最後の夕食は、メコン川沿いのレストランで過ごし、キャンプの締めくくりとして閉会礼拝と振返りの時間を持ちました。

今回のミッションサービスワークキャンプは、初めて日本以外のアジアからも参加者を募り、多角的にミッション活動やキリスト教会のグローバルな働きを考える機会を作りました。また、技能訓練センター建設の初歩に関わることができたことに感謝しています。今後も、国際プログラムの一環として、このようなミッションサービスワークキャンプを継続的に計画していきます。


参加者の声

このキャンプを通して学んだことは、自分と違う文化や考え方、背景を持つ人とコミュニケーションを取ろうと挑戦することは、美しいことであり、平和を作り出すことにつながるのだということである。このキャンプを通して私もどんな人ともコミュニケーションを取ろうとすることをあきらめず、人と人とをつなぎ平和を実現する人になりたいと思った。

(18歳、大学生)

 

私は今後、生きる上で人々との対話、他者のいる中で生きることを大切にし、自分自身の中にどこまで他者を入れられるのかという問いを考え続けたいと思う。そして、どんなに苦しい世の中にあっても希望を持つことを忘れず、平和に向けての小さな歩みを次に繋いでいきたいと思う。                   

(18歳、大学生)

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