報告

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国内プログラム開催報告

北海道スタディワークキャンプ2018 報告
2018年9月3日~9月7日

大変遅くなりましたが、2018年9月に実施したスタディワークキャンプin北海道に関してのスタッフの報告をお読みください。

2018年9月3日~9月7日まで北海道にてスタディワークキャンプを実施しました。参加者は6名(4名の参加者と2名スタッフ)でした。今回初めて北海道でスタディワークキャンプを実施したのには2つの目的がありました。1つ目は、アイヌ民族の歩んできた迫害の歴史と文化について理解を深め、帯広にある非営利団体の学習支援活動に参加しアイヌの子どもたちの現状を学ぶ。2つ目は、北海道浦河町にある精神障害をもつ当事者コミュニティのべてるの家の働きについて多角的な面(スタッフ、当事者との交わり、仕事場体験)から学び、精神障害に対する理解を深めることでした。

最初に北海道の浦河町のべてるの家を訪問し、仕事場体験やソーシャルスキルトレーニング(SST)(対人関係を中心とする社会生活の技能を高めるための訓練で認知行動療法の一つに位置付けらる)を実際に体験することを通して、精神障害に対して各々が抱いていた固定概念や、築いていた壁を壊すことができたようでした。べてるの家では職員、当事者、訪問者がはっきりと区別されておらず、それが誰にとっても居心地のよい空間を作り出していました。毎年多くの方が日本全国、また海外から、福祉関係者だけでなく企業からも、べてるの家を訪れています。多くの方が訪問するのには、何か大切な事柄があるからこそ人々が集うのだと思わされました。効率や利益を重んじるばかりに、人のことを大切にできない、コミュニケーションをとろうとしない、弱みをみせず、表面上は何事もないように暮らしている私たち一人ひとりに、それで良いのだろうか?と振り返るときとなりました。

べてるの家ではよくミーティングが行われています。自分の話しをする、相手の話を聞く、悩みを打ち明ける、相談にのるといったことをとても重要視しています。その中でもとくに「弱さの情報公開」ということを大切にしていました。つい私たちは頑張って何かを成し遂げようとし、自分の弱さを見せまいとしてしまいますが、無理をしないで、そこにいることを認めること、お互いの弱さを見せることができる、自分の弱さを話すことのできるコミュニティ作り、関係作りの大切さをべてるの家の訪問で教えられました。

3日間を浦河町で過ごし、もう一つの目的地である帯広に向かう9月6日の早朝に北海道胆振東部地震が発生し、帯広で元々予定をしていた博物館への訪問とアイヌの文化を知るための食事交流会や、子どもたちへの学習支援活動を中止せざるを得なくなりました。しかし、地震でご自身も大変な中、長年アイヌ民族の子どもたちの学習支援に携わっていらっしゃる「エテケカンパの会」の事務局長の芦澤満先生からアイヌ民族の文化や生活に使用していた用品や伝統服について説明をしていただきました。先生が学習支援を始められた経緯や、アイヌ民族の方々が経験されてきた迫害や差別について、また若い世代の子どもたちがカナダの少数民族の青年たちとの出会いからアイヌ民族の文化や伝統を誇りに思い継承したいという気持ちに変わっていったことなどを伺いました。参加者一人一人も、歴史の教科書の一部分でしかアイヌ民族のことを習ったことがなく、芦澤先生から伺った話に衝撃を受けていました。そして、知ることの大切さを改めて教えられるスタディワークキャンプとなりました。

参加者の声
知ることで壁を壊すことができる、分かり合える、繋がれるという自信がつきました。
(大学3年生、女性)

今回の経験は、自分が思っていたこととは違うことが大きかった経験になりました。これは自分に固定概念があり、視野がとても狭いものだということです。例えば、ネットに書かれていることをそのまま鵜呑みにして信じてしまうことは危険でありその人の視野を狭めてしまいます。私もそうなってしまいやすい人間です。ネットが普及して便利な世の中になったからこそ、それだけに頼るのではなく、多角的に物事を判断しなければいけないと思いました。(大学3年生、男性)

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