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その他国際協働プロジェクト

国際協働プロジェクト:CHADベトナム視察報告

国際協働プロジェクトCHAD(Community Health and Agricultural Development)ベトナムの活動地域を視察するため、弊財団の理事4名が2025年1月20日~23日にをベトナムを訪問しました。視察報告をぜひご覧ください。

ホーチミンシティ・タンソンニャット空港から約1時間。ザライ省・プレイク空港に降り立ち、ベトナム CHADプロジェクトのリーダーである牧師や教会のメンバーと共に、Kueng Grai(クエン ガライ)村に向かいました。空港から村までの1時間、車窓から見える街は旧正月の活気に溢れていました。市街地を抜けると家や商店が少なくなっていく代わりに、田園風景が目に入ってきました。水の張られた田んぼには1月下旬にも関わらず緑の稲が育っていました。この地域はかつてクメール王国やラオスの支配下にあり、多くの山岳民族により治められた歴史があります。現在は、少数民族・ジャライ族の人たちが生活をしています。
教会に着くとベトナムCHADのコミュニティーメンバーが出迎えてくれました。ウェスレー財団の支援によるこの村のCHADプロジェクトは、環境保護と農業開発を目標とし下記の3つが主な活動です。

  • 豚、鶏、アヒル、牛などを飼育し、収入を得る
  • 井戸や池からの生活用水の確保
  • 衛生的なトイレ(主に屋外)の設置

豚小屋は教会のすぐ近くにありました。豚を飼育し2年ほど経ち、これまで5頭の豚を売ったと聞きました。収入を得る自立した女性たちの姿がそこにありました。次に貯水タンクを見ました。ホースから勢いよく出る水は、料理や洗濯に使われています。その後、バイクに乗って農村を走り、教会から離れた地区の家の外に建てられたトイレを見ました。丈夫なドアが取り付けられた清潔な個室のトイレでした。

次に訪れたのはDak Dam(ダックダム)村です。牛が道を歩くのどかな村で、CHADプロジェクトによって作られたトイレと鶏小屋を見ました。右はシャワー、左はトイレと個室が並んでいました。また鶏小屋は日当たりが良く、その中で平飼いされた鶏は、干したトウモロコシと砕いたバナナの木を餌としていました。鶏に優しい環境が整えられていました。鶏は20kg、100ドルほどで売られており、収入を得ることができていました。家の台所にはプロパンガスのボンベが設置され、生活環境が向上していることもわかりました。

続いて、教会から少し離れた水田に向かいました。CHADプロジェクトによって整えられた水田のあぜ道は幅が広く、この村の人々の主要な移動手段であるバイクでも安全に通行できました。その後、ヤギ小屋を見に行き、ヤギも売って、収入を得ている話を聞くことができました。

ベトナムのCHADプロジェクトのリーダーであるThang牧師との話の中で、この村には約150の世帯があり、70〜80世帯の人たちがCHADプロジェクトに関わっていると話しておられました。かつてはお金がなく、トイレを作るノウハウもなかったため、村にはトイレがなかったが支援によって、今は70ものトイレが設置されているそうです。この話を聞き、5年間で衛生環境がより良く整えられ、人々の暮らしが改善されたことが分かりました。トイレだけでなく、5年間のウェスレー財団の支援によって、ウェルネスが向上し、生活が変わり、もっと働こうという意欲が芽生えたと伝えられました。またこの村の生活の向上だけでなく、ここでの成功例を近くの村に伝えていることも熱く語られました。社会主義体制下、近隣の村に住む人たちにとって、キリスト教やキリスト教のコミュニティーはすぐに受け入れられるものではない状況の中、CHADプロジェクトに取り組むメンバーの行いから、信頼を持ってもらえるようになった、とThang牧師が話していました。

CHADプロジェクトを始めて5年が経過しようとしている今、メンバーは新しいアイディアを持ち寄り、何が必要か自分たちで考え、その考えに基づき実践するだけでなく、隣村にも手を差し伸べ、より多くの人たちの生活を良いものにしたいという使命を持って行動していました。最後にウェスレー財団による1年に一度のモニタリングによって、良い関係性が保たれたことへの感謝も伝えられました。

ベトナムのCHADプロジェクトで訪れた村は、教会を中心として大勢の人が集まり活気に満ちているだけでなく、助け合ってプロジェクトを進め、得たものを分かち合い、「世の光」として希望を持って歩む姿に励ましを与えられました。ベトナムを訪れ、視察したそれぞれの農村の需要にあった援助のおかげで、よい効果が見出され、農村に住む人たちの生活環境の改善に役立っていることを自分の目で見ることができました。そして持続可能なコミュニティー作りのために村の人たちが協働することが大切だと感じる視察となりました。

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