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その他国際協働プロジェクト

国際協働プロジェクト:CHADラオス視察報告

国際協働プロジェクトCHAD(Community Health and Agricultural Development)ラオスの活動地域を視察するため、弊財団の理事3名が2025年1月18日~20日にラオスを訪問しました。視察報告をぜひご覧ください。

14世紀にランサーン王朝の首都として栄え、19世紀から20世紀半ばまではフランス保護区としてコロニアル様式の家屋が建てられ、現在は町全体が世界遺産になっているLuang Prabang(ルアンプラバン)。その古都から山の尾根を通り隣国のタイまで続く舗装された一本道を車で進むこと2時間ほどの山奥にCHADプロジェクトに取り組む3つの集落があります。

ナラエ郡の過疎の村々は10年前にようやく電線が張られ電灯が灯るようになりましたが、まだ電気以外の上・下水道、ガスなどのインフラは整備されていません。山間にあるナラエ村は井戸を掘ろうにも水が出ず、人々は5月から10月の雨期に降る雨水を生活用水として利用しています。かと言って整った貯水池があるわけではありません。また電気は来ていても冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどは高価で購入できません。台所がある家はわずかで、ほとんどの家では調理は外で薪を使い、洗濯は貯めた水を使い共同の洗い場で手洗いといった感です。

このナラエ郡で2020年にウエスレー財団の支援により始まったCHADプロジェクトは3つ:

  1. 生活用水の確保、
  2. 衛生的なトイレ(主に屋外)の設置
  3. 鶏、豚、山羊などを飼育し収入を得る

というものです。

ナラエ村


ナラエ村ではナラエ・メソジスト教会牧師の指導の下、村人たちが協力して雨水を貯めるため3x3x3mの大きさのタンクを山の中腹に設置し、そこからホースでおよそ30世帯ある家々に水を引き、飲料水やトイレの水洗に使っていました。水洗といっても日本のようなものではなく、手桶で流すものです。
それでも牧師や教会員は「以前は人々は山間の林の中に行っていたので虫や動物などがいたり、不衛生で体調を崩したり、女性は男性の視線が気になったが、今はそのような心配はなくなった。」と口々にCHADの取り組みに感謝していました。

ナラエ村では鶏の飼育と豚の飼育がようやく軌道に乗ってきたという感じで、まだまだ収益になるところまではいっていませんが、それでも「村人たちの生活向上の意識は高まってきたように思える」と牧師は語っていました。

ホイカン村


2つ目の視察地も同じ道沿いにあるHoican(ホイカン)村で、ここもナラエ村と同様、ホイカン・メソジスト教会の牧師の指導の下、同じようにタンクを設置し、トイレを作り、家畜の飼育が進められていました。

ホイタン村


特筆すべきは3つ目の視察地Hoitan(ホイタン)村です。ホイタン村は山の尾根の道をルアンプラバンに向かって1時間ほど戻り、そこから舗装があまり行き届いていない山道を北上すること1時間、先の2つの集落よりも更に人里離れた僻地にある村です。しかし、いくつかの山を抜けると小さな原のような平坦な地も所どころに見られ、そのためCHADの支援による家畜の飼育や農産物生産で3つの集落では一番収益を上げていました。
ホイタン村のメソジスト教会の牧師の指導の下、ホイタンでは貯水タンクではなく、井戸掘りが進められ、共同井戸の水を村人が分かち合い、家々の屋外にトイレを作っていました。家畜の飼育は集落から歩いて10分程度離れた地を開墾し、そこに豚小屋、鶏小屋を建てて行っています。毎年、家畜の数を増やし、それを売っては収益から新たな井戸を掘り、トイレ設置に当てるという自分たちの中で利益を還元するところまで来ていました。またホイタン教会は、少し離れたところにあるウエスレー財団・CHADプロジェクトの支援を受けていない隣村の要請を受けて、自分たちでプロジェクトを教えるという、CHADの理想である独立独歩(自立)に近づいています。ホイタン村の人々がより明るく元気に見えたのもあながち気のせいではないでしょう。

自分の足で立ち、自分で井戸を掘り、自分の生活を確立する」これこそ本来のCHADの目的であり、ウエスレー財団の支援の目的ではないでしょうか。そのことを自分の目で見て、肌で感じることができたラオスCHADプロジェクトの視察でした。

 

 

 

 

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