報告

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国際プログラム開催報告

若い女性のためのリーダーシップ研修2024inカンボジア報告

研修テーマ:Where is HOPE?
テーマ聖句:イザヤ書40章31節(前半)「主に望みをおく人は新たな力を得る。」
日程:2024年2月19日~2月26日 カンボジアでの研修日程は2月20日~24日の5日間

2020年のシンガポールでの開催から4年を経て、若い女性のためのリーダーシップ研修(Asian Young Women’s Leadership Development Seminar)をカンボジアで実施しました。4年ぶりの対面による開催は財団としても待ち望んでいたものでした。

2024年の研修テーマは、「Where is HOPE?」を考えるため、日本を含むアジア12カ国(カンボジア、インドネシア、韓国、シンガポール、台湾、中国、フィリピン、香港、マレーシア、ベトナム、ラオス)から28名(大学生~30代後半)の参加者が集まりました。(内日本からは5名を派遣)研修終了後、それぞれの場所にリーダーとして戻っていく参加者たちは、研修中も受け身の姿勢ではなく、積極的に参加する姿勢が求められます。

 


若い女性のためのリーダーシップ研修は、コロナ禍(2021年~2023年)を除く2020年まで毎年、東南アジア各国で実施してきました。この研修では、開催国の文化、歴史、社会問題について学びを深めてきましたが、今年は各国(参加者の国)の若い女性が直面している「社会課題」について調べ事前にレポートとして提出する課題を出し、研修中に発表する時間を設けました。

上記の事前課題とは別に、個々が関心を寄せている女性に関するテーマを4つ、1)教会での女性のリーダーシップ、2)女性の人生の選択、3)女性の自立(精神的な自立、経済的な自立)、4)女性の健康、セルフケア、を選択肢として挙げ、関心があるテーマについて事前にアンケートを取りました。研修中のプログラムの中では、関心のあるテーマごとのグループでディスカッションが持つときを設けました。

研修初日は、カンボジアの参加者が中心となった開会礼拝から始まりました。(司式、賛美リード、カンボジアメソジスト教会の女性牧師によるメッセージは全てカンボジア側が担当しました)

開会礼拝の後のオリエンテーションでは、このセミナー開催に関わる女性リーダー6名の紹介やゲストの紹介なども行われました。今回の開催に当たっては、メソジスト教会から派遣された女性宣教師、過去の研修参加者がカンボジア側のリーダーの中心として協力いただきました。

今回カンボジア側の3名の女性がリーダーとしてセミナーが円滑に開催されるための調整、準備、研修中の写真撮影など、様々な役割を担っていただきました。3名の女性リーダーは通常、メソジスト教会の働きの一つであるカンボジアの若い女性向けの学生寮の運営や、女子学生のサポート(選考方法や寮の生活や活動など)、ヘアメイク、ネイル、製菓技術の学習、若い女性の自立を促す職業訓練の支援活動に従事しています。オリエンテーションの際には、彼女たちが担う2つのプロジェクト(Susanna Wesley DormitoryとShine Project)についての説明が行われ、参加者たちはカンボジアのリーダーたちの活動や人物像をより深く理解する機会を得ました。

初日の夕食時には各国の伝統衣装に着替え夕食を共にしたこともあり、アジアの豊かな文化や違いを目で見て楽しむ時を味わい、距離がいっきに近づいたようでした。研修中は毎晩参加者が担当し祈りの時をもち、朝も同様に各国の参加者が担当し、ディボーションから一日をはじめるプログラムでした。日々の「振返り」の時間ではそれぞれの日に学んだことや感じたことを素直な心で自由に共有し合い、お互いのことを理解し共感しあうとても大切な時となりました。

研修は、Bible Study、講義、各国からの発表、日々の振返り、一日外出のプログラムが設けられ、今回の研修テーマである:Where is HOPE?を様々な側面から考え学ぶ時をもちました。イザヤ書40章28節~30節について学ぶBible Studyのセッションでは聖書で示されているHOPE(希望)について学び、考えを深める時をもちました。Leadershipの講義では事前アンケートに基づき、グループで実体験や考えを共有する時をもちました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後は各国の発表の時をもち、各国の若い女性たちが直面する社会課題は国の発展状況により様々ですが、構造的な女性の機会損失や女性に対する暴力、若年結婚や10代での妊娠、職場でのキャリア選択や評価、研究職に進学する女性の割合が少ないことなどが発表されました。

3日目は朝から夕方までプノンペン市内でカンボジアの歴史や社会課題に関連する地に訪問しました。かつてカンボジアはポルポト政権に支配された暗く残酷な歴史があります。その時代に虐殺の場所の一つとなっていたKilling Fieldsを訪れ、一人一人がオーディオガイドの案内によって、今いる場所で何の罪もない多く人々の命が失われた出来事を学びました。

その後、Jars of Clay Caféという宣教師によって始まり、現在はカンボジアの女性オーナーによって運営されるカフェで昼食の時をもちました。このレストランは、人身取引の被害にあった女性たちの働きの場となっており、女性オーナーからJars of Clay Caféの活動やこれまでの人生の歩み、困難やリーダーとしての葛藤、神様がどのように彼女を用いられているかといった話を伺い、多くの参加者たちの心に響いているようでした。

その後、1930年代に建設されたアールデコ調の建物の市場“Central Market”で、参加者同士それぞれ買い物を楽しみながら、交わりの時間を深めました。

4日目のBible Studyは、Anchored in Hope 「希望に根差して」と題する(ヘブライ人への手紙6章19節)セッションで希望のシンボルについて考えることや、クリスチャンにとっての希望は何であるのか、これまでの人生で直面した困難をどのように神への希望で乗り越えられたのかといったことを短時間(3分間)の一寸劇で表現し、お互いの経験から具体的に学び合う時間となりました。

この具体的な経験を共有することこそ、若い女性たちにとって大切で、励ましとなり力となっていることを日々参加者の様子を見ていて感じることができました。

また、今回の研修ではカンボジアの社会課題の一つである人身取引について取り組むNGOに長年関わっている方を講師に迎えました。その女性講師は2015年の研修では参加者だった方です。彼女が10年以上関わってきた女性の人身取引のNGOでの活動や、人生の歩みについて具体的な話を共有してくれたことは、参加者にとって良いロールモデルが示されました。

最後の日には、4日間の学びを6グループに分かれ、「HOPE」のイメージを1枚のポスターとして創作し、その6枚のポスターを今回の参加者全員の大きな希望の作品として完成させました。自分たちには希望があると確信をもって最後のセッションを終えることができたと参加者一人一人の表情を見ながら感じ取ることができました。

セッション後の最後のお楽しみの時である、Sharing Showでも、参加者たちのリーダーシップを見ることが出来ました。MCも参加者2名が担当し、その場を盛り上げてくれました。28人の女性達は4日前に知り合ったとは思えないほどに仲良く歌ったり踊ったり笑ったり心から楽しんでいる様子が見られました。


研修最終日は全日程を無事に終了することができたことを表彰する時を持ちます。一人一人に授与証が手渡され、その後、閉会礼拝の時を持ちました。閉会礼拝では、参加者たちが賛美チームや司式など積極的に加わり一人一人が礼拝を作り上げました。礼拝の中では聖餐に預かる時が与えられ、閉会礼拝からそれぞれが希望の光をもって送り出されていることを確認し研修を終えました。

混沌とした世界の中で希望はあるのだろうか?と不安に思ってしまう時、私たちには希望があることを改めて感じることのできる研修となりました。コロナ禍を経て、対面での研修でしか味わうことのできない共に時間を過ごすことの貴さを改めて教えられる5日間でした。共に時間を過ごすということは、共に食事をし、共に賛美をし、共に祈り合い、共に神様に心を向けることです。この経験は若い人達のこれからの人生において大きな財産となると信じます。

今回、4年振りに研修を実施するにあたり、特にカンボジアの女性リーダー3名の信仰と祈りと多大な協力があり実現することが出来ました。改めて感謝を覚えたいと思います。また以前実施した若い女性のためのリーダーシップ研修の参加者が、受け入れ側のリーダーの一人として、また講師として活躍してくれたことも大変うれしく感じています。


参加者の感想

  • 私は、クリスチャンとしてのHOPEとは「祈り方を知っていること」「隣人のために祈ることができること」ということだと気づくことができました。また、このように、キリスト教から離れなくても新たな出会いと気づきを得られたということは、私にとってとても大きい意味がありました。今まで自分がクリスチャンであることの意味を見つけられなかった私でしたが、今は自信をもって「私は自分が何を信じているのかを知っている。私は祈り方を知っていて、隣人のために祈ることができる。」ということができるようになりました。これが、今回のプログラムを通じて私が一番変わったと思うことです。 (大学生22歳)
  • 研修前は自分の好きなことは沢山あるけれど、やりたいことが不明確でクリスチャンとしてこれからどう過ごしていこうか迷い不安な日々を過ごしていました。しかし、研修後多くの課題に向き合う事への使命感、クリスチャンとして出来ることが沢山あることに気づくことが出来ました。周りの流れに合わせることに必死だった自分が変えられ、自分のやりたいこと、すべきことを自分のペースでやっていこうという思考に変わったと感じています。(大学生21歳)

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