セミナー・講演会開催報告
女性のエンパワメント連続セミナー
リトル・ウィメンから学ぶ女性の生き方 第2回目報告
女性のエンパワメント連続セミナー リトル・ウィメンから学ぶ女性の生き方
第2回目 「ミュージカル リトル・ウィメンから伝えたい女性の生き方」
参加者:20名
実施日:2019年6月22日(土)
2019年6月22日(土)に、ウェスレーセンターにて「女性のエンパワメント連続セミナー リトル・ウィメンから学ぶ女性の生き方 第2回目」を開催しました。
このセミナーは、今年9月に日比谷シアタークリエにて上演予定のミュージカル「リトル・ウィメン(若草物語)」の開催に合わせ、名作「若草物語」から女性の生き方、キャリアの築き方を学ぶ講座として2回に分けて企画、実施しました。
ミュージカル「リトル・ウィメン」は、ルイザ・メイ・オルコット原作による「若草物語」とその続編「続・若草物語」をミュージカル化した作品です。女性が職業を持つことが一般的ではなかった19世紀後半のアメリカを舞台に、作家を目指して奮闘する主人公・ジョーとその姉妹たちのストーリーが描かれています。
(第1回目の様子はコチラをご覧ください)
第2回目は、ミュージカル「リトル・ウィメン」の制作に携わる小嶋麻倫子氏(東宝株式会社チーフプロデューサー)、小林香氏(演出家、脚本家、訳詞家)の2名を講師としてお招きしました。講師のお二人から、ミュージカル「リトル・ウィメン」制作への思いや、女性のキャリアの築き方、仕事のやりがいに関してお話しいただきました。
初めに、お二人にこの作品を通して伝えたいことを伺うと、「女性にも様々な人生の選択肢があり、その中から自分の意思で道を決められることの重要性を伝えたい」とおっしゃっていました。どのような道に進む場合も、自分で決められるということが重要であり、性別や社会によって決められるものではないことを強調されていました。
演劇界で活躍されるお二人に、女性としてのキャリアの築き方についてお話しいただく中で、お二人が女性として働く上で困難を感じているのはまさに”今である”ということを伺いました。この社会には、女性が最終的な決定権を持つ地位まで上がることが困難な構造がある。それに加え、無意識のジェンダー差別もあり、成果に関わらず女性の昇進の妨げとなる「ガラスの天井」が存在していることを伺いました。
ミュージカル制作者としての下積みをされていたころも、もちろん多くの苦労をされてきたようですが、それらの経験は「努力すれば実る苦労」だったため、苦にはならなかったといいます。しかし、この「ガラスの天井」は、「自分が努力してもどうにもならないものかもしれないと思うとくじけそうになる時もある」と、今まさにお二人が直面している厳しい現実が伝えられました。ただ、現状を嘆くだけではなく、「女性という弱者になれたことを嬉しく思う」と、この厳しい現実をも前向きに捉えて社会を良くしようと働いておられる姿は、参加者に大きな影響を与えました。
お二人にとって、ミュージカルの仕事とは「こういう社会があると良いなと思うものを表現する手段」「人間の善良さを肯定していることを土台に、歌や踊り、セリフを通して伝えられるもの」であり、ミュージカルを通して社会に良い発信をしていくことを生きがいとされているお二人の講演は熱意に満ち、聞く人を惹きつけるものがありました。
講演の最後には、これから社会に出ていく若い世代へのメッセージとして、「やりたいことを見つけるには時間がかかるが、人生に無駄なことはひとつもない。迷ったら、まず挑戦してみるのが良い」「自分の心の声に耳を傾けて、怖がらずに進んでほしい。稼げるかどうかや見栄えの良い仕事かどうかといった要素は何の柱にもならない」と力強く語る言葉に、多くの参加者が感銘を受け、励まされていました。
男性中心の社会構造の中で女性が成果を出し、キャリアを築いていくことの難しさや、無意識の中に潜むジェンダー差別への問題意識を感じながらも、一筋の光を信じて歩まれているお二人の姿に大変感化され、会場に集まった皆がそれぞれの人生に希望を見出せるようなセミナーでした。
ウェスレー財団では、これからも女性のエンパワメントおよび社会問題に関心を持つ若者の育成に寄与するセミナーを実施してまいります。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。