報告

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国際プログラム開催報告

若い女性のためのリーダーシップ研修2026inフィリピン報告

研修テーマ:Rooted in God
テーマ聖句:「キリストに根を下ろして造り上げられ、教えられたとおりの信仰をしっかり守って、あふれるばかりに感謝しなさい。
(コロサイの信徒への手紙2章7節)
      
日程2026年2月4日~2月11日 フィリピンでの研修日程は2月5日~2月10日の6日間

若い女性のためのリーダーシップ研修(Asian Young Women’s Leadership Development Seminar=以下AYWLD)をフィリピンケソンシティで実施しました。2026年の研修のテーマはRooted in Godでした日本を含むアジア9カ国(カンボジア、インドネシア、韓国、ラオスマレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム)から30名(大学生~30代半ば参加し、フィリピンのボランティア4名(過去のAYWLD参加者)も集まりました。日本からは5名の参加者を派遣しました。研修終了後、それぞれの場所にリーダーとして戻る参加者たちは、受け身の姿勢ではなく、積極的に参加する姿勢が求められます。 

開会礼拝&Gala Dinner

研修1日目は、“Rooted”をテーマとした開会礼拝から始まりました。続いて、フィリピン地域合同メソジスト教会(Philippines Regional Conference of The United Methodist Church)の歴史について学んだ後、Dss. Norma Dollaga氏による特別講演とA-Womenによる特別プログラムが行われました。(詳細は下記に記載しています)

夕方にはGala Dinnerが開かれ、参加者はそれぞれ自国の伝統衣装を着て出席しました。色とりどりの美しい伝統衣装が一堂に会し、華やかな雰囲気の中で、アジア各国の豊かな文化を体感するひとときとなりました。また、ゲストの方々も出席してくださり、フィリピンでのAYWLDの開催を喜び、お祝いの言葉を寄せてくださいました。

若い女性の直面する社会課題の共有

2日目には、Country Sharingが行われ、各国の参加者自国の若い女性が直面している社会課題について発表しました日本からは、「ルッキズム」及び「子育てとキャリアの両立」について報告があり他国からは、「女性のメンタルヘルス」「教育機会の欠如」「10代の妊娠」などが取り上げられました質疑応答では、それぞれの国の状況について活発な意見交換が行われました。 

フィリピンの社会課題に関する学び

AYWLDでは、研修の一環として社会課題に取り組む非営利団体を訪れ、その活動について学びます。今回は3日目にマニラ北墓地を訪れ、そこで暮らす人々の実情に触れました。その後、マニラ北墓地でコミュニティ支援を行っているKapatiran-Kaunlaran Foundation, Inc.(以下、KKFI)を訪問し、同団体の働きについて話を伺いました。次いで、フィリピン地域合同メソジスト教会及びその女性事業部であるBoard of Women’s Workによるミッション活動について学びました。 

マニラ北墓地は、マニラ中心部に位置する、最も古く広大な墓地の一つです。 1950年代から墓地での居住がはじまって以来、何世代にもわたって家族が暮らし、現在では約6,000人が生活しているとされています。墓地での生活は、劣悪な衛生環境をはじめ、多くの課題を抱えています。墓地居住の背景には、固定化された貧富の格差や急速な人口増加、低所得層向け住宅の不足といったフィリピン社会の構造的課題があります。現在もなお、マニラの人口の30%以上が、河川沿いや橋の下、道路脇、墓地などの非公式居住地での生活を余儀なくされているといわれています。

参加者は、マニラ北墓地の中を歩き、住民の方々から直接話を伺いました。そこで繰り返し語られたのは、「墓地に住みたくて住んでいるのではない。ここに住まざるをえない」という切実な言葉でした。大人たちは十分な収入を得られる仕事に就くことが難しく、墓地での生活から抜け出せない現状にあります。子どもたちも、差別やいじめによって学校に通えなくなり、その結果、安定した仕事に就く機会から遠ざかってしまうという負の連鎖があることが語られました。

こうした厳しい現実の中で、地域に寄り添いながら支援を続けているのがKKFIです。KKFIは、かつてMethodist Social Centerとして知られ、「神への愛は、隣人への愛、正義、そして社会の刷新と切り離せない」という信念のもと、各地で教育、保健医療、農業などの分野において社会変革に取り組んでいます。マニラ北墓地もそのフィールドの一つであり、教育プログラムや保健啓発活動が行われています。私たちは、同団体の幅広い働きとその意義について学びました。

ミッション活動についての学び

次に、フィリピン地域合同メソジスト教会による“障がいのある人々と共に歩むミニストリー”(Ministry with Community of Persons with Disability)と、 Board of Women’s Work による“AIDS/HIVと生きる女性たちと共に歩むミニストリー”(Ministry with Community of Women Living with AIDS/ HIV)について説明を受け、当事者の方からお話を伺いました。 

障がいのある人々と共に歩むミニストリーは、2021年、コロナ禍で孤立する障がいのある人々に寄り添う働きとして始まり、その後も継続されています。 教会が障がいのある人々とどのように関わり、共に歩んできたのか、啓発や対話といった実践について学びました。また、当事者の方が、ミニストリーとの出会いを通して自らも教会の働きに加わり、 障がいのある人々が取り残されない社会の実現のために行動する一人となったことを証ししました。  

AIDS/HIVと生きる女性たちと共に歩むミニストリーについては、HIVに感染した女性たちの話を伺うことから始まりました。数名の当事者の方が、パートナーからの感染、子どもの感染発覚、離婚といった経験を、葛藤や痛みとともに率直に語ってくださいました。HIVは単なる病ではなく、精神的な傷を伴い、社会の中で差別と偏見にさらされる現実があります。私たちは、その現実の一端に触れ、自らの無理解や沈黙もまた当事者を孤立させてしまう可能性があることを思わされました。そのような状況の中で、Board of Women’s Workは、啓発や教育、支援を通して当事者と連帯するミニストリーを担っています。教会においてもなお語られることの少ないHIVの課題に取り組む働きの重要性と、その難しさについて考えさせられる時となりました。

3日目は様々な証を聞く機会が与えられました。困難の中にあっても信仰をもち、互いに助け合う人々の姿は、多くの参加者の心に刻まれました。同時に、自らの所属する教会が、社会的に困難の中にある人々に開かれているかどうか、強く問われる学びとなりました。

フィリピンの歴史に関する学び

4日目の日曜日には、UCCP Cosmopolitan Churchの礼拝に出席し、その後、イントラムロスを観光しました。イントラムロスは、スペイン植民地時代に立てられた城郭都市です。フィリピンは、300年以上に及ぶスペイン植民地支配、その後のアメリカ統治、さらに3年間の日本占領という、複雑で苦難に満ちた歴史を経験してきました。イントラムロス内の、 サンアウグスティン教会、カサマニラ、Memorare Manila1945、マニラカテドラル、サンチアゴ要塞を訪れ、そのフィリピンの歴史を肌で感じることができました。 

フィリピンは、太平洋戦争において激戦地となり、日米間の戦闘に巻き込まれるかたちで多くの尊い命が失われました。 日本とフィリピンは、戦後の和解を経て、今では歴史問題が公の場で取り上げられることは多くはありませんが、Memorare Manila1945とサンチアゴ要塞は、日本軍による虐殺と、フィリピンの人々にとって忘れることのできない苦しみを伝える歴史的遺構として、今でも歴史を語り継いでいます。 

研修中の講義やセッション

研修中は、ウェスレー財団のパートナー団体であるScranton Women’s Leadership Center の Dr. Yani牧師による「Standing Firm in a Shaking World」、弊財団の代表理事小海による「Paradigm Shift of Leadership 」などの様々な講義が行われました。各講義は、参加者が自分自身を見つめ直し、神に深く根ざしながら、コミュニティに仕えるリーダーとなるための実践的かつ霊的に深い学びとなりました。

1日目には、Dss. Norma Dollaga氏による特別講演「Seek Peace and Pursue It!」が行われました。Norma氏は、正義・平和・人権・人道支援・女性のエンパワメントに取り組むEcumenical Center for Development(エキュメニカル開発センター)に仕えるディーコネス(信徒伝道者)で、世界メソジスト平和賞受賞者でもあります。Norma氏は、「貧しい人、苦しんでいる人を実際に訪れる」ことの大切さを力強く語りました。なぜなら「“正義、平和、人権”という言葉は、私たちが主体的に関わって初めて実現するものだから」と。社会正義活動の最前線で働いているNorma氏の言葉は、参加者一人一人の心に深く響きました。 

また、A-Womenによる特別プログラムも行われました。A-Womenは、Board of Women’s Workの若い女性のためのプログラム部門です。2020年のコロナ禍で、若いクリスチャン女性が安心して語り合い、学び合えるオンライン・コミュニティを立ち上げたことから始まりました。その後も、リーダーシップトレーニングやエンパワメントを通して、若いクリスチャン女性の成長の場となっています。

Fun Time

研修の最終日前日には、お楽しみ企画であるSharing Showが行われました。参加者は、それぞれ神から与えられた賜物を生かし、歌やダンス、お笑いを披露しました。会場は終始笑顔と拍手に包まれて盛り上がり、参加者同士の絆が一層深まりました。 

日々の祈り

研修中は朝の賛美と祈りから一日を始め、夜は祈りで一日を終えます。日ごとに各国の参加者が担当し、様々な方法で神と向き合う時間を持ちます。初日にはフィリピンの参加者が開会礼拝を担当し、閉会礼拝では、参加者の有志チームがリードしました。 

閉会礼拝

6日目の閉会礼拝では、メッセージの中で小海が「自分をリーダーだと思う人はいますか」と問いかけました。この質問は初日の開会礼拝でも投げかけられましたが、その時はほとんど手が挙がりませんでした。けれど閉会礼拝では、全員が手を挙げました。研修を通して、参加者は自らの内に神が“種”を蒔いておられることに気づかされたのです。種が地に根を張り、やがて芽吹き花を咲かせるように、私たちが神の愛に根差した時、与えられた賜物が成長し、愛の実践という実を結んでいきます。それが、私たちの目指すリーダーシップです。

Alumniの活躍

昨年度に引き続き、今回も過去のAYWLDの参加者が、ボランティアチームとして、研修期間中の運営を全面的に協力しました。研修前には、訪問先の選定や交渉、宿泊先との調整、デザイン、事務手続きなど重要な役割を担いました。また Alumni Talk Sessionでは、自らの経験を分かち合い、参加者に励ましを与える存在となりました。
また、本開催にあたり、Board of Women’s Work事務局長のMs. Jennifer Ferariza-Meneses、プログラムマネージャーDss. Sheena Camille Calma–Sanchezのご尽力に感謝いたします。

参加者の声

ホスト国であるフィリピンのメンバーは皆、社会的抑圧や不条理(特に女性にとって)に対しては声を上げなければいけないと言っていました。「Faith without justice is incomplete.」という言葉が印象的でした。赦す=黙認ではなく、隠されているものがあらわにされることも必要だと改めて思わされました。今も仕事や人間関係で「このままでいいのだろうか」と悩んでいることがありますが、神様に「行動を起こしなさい」と語られたら、人にどう思われるかは気にせず、愛するが故に正義を求める神様の心を見上げて行動する者になりたいです。(社会人) 

今回の研修で私が最も勇気を出した経験は、クロージングでの賛美奉仕に挑戦したことである。リーダーシップ研修に参加する以上、自ら手を挙げて何かをリードすると決めていたが、研修中は英語を聞き取ることに精一杯で、積極的に前に出ることができなかった。最終日が近づく中で、「一緒に賛美をリードしないか」と声をかけられ、「ここで踏み出さなければ、何も実践できないまま終わってしまう」と、勇気を出して挑戦した。共に練習し、最後にみんなで賛美をささげたとき、私は「共に神様に向かう」喜びを感じた。言葉や議論ではなく、歌を通して神様を礼拝できたことは、私にとって深い恵みであった。(大学生) 

 

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