国際プログラム開催報告
Mission Service Work Camp 2025 in Cambodia スタッフ報告
2025年8月1日~8月8日に実施したミッションサービスワークキャンプのスタッフ報告をお読みください。
実施日時:2025年8月1日~8月8日
実施場所:カンボジア・プノンペン
2025年8月1日~8月8日までカンボジア・プノンペン郊外にてミッションサービスワークキャンプを実施し、日本、フィリピン、韓国から大学生を中心に12名が参加しました。
今年も昨年に引き続き、技能訓練センター「Hope Vocational School」でのワークをし、合同メソジスト教会がカンボジアで展開する様々なミッション活動についても学びました。
Hope Vocational Schoolは、カンボジアの若者のための技能訓練センターで、韓国のNGO「Bridge of Hope」と合同メソジスト教会海外宣教部「General Board of Global Ministries 」の共同プロジェクトです。ウェスレー財団も、国際協働プロジェクトの一環として教育活動を支えています。 現在同校では英語、韓国語、プログラミングのクラスがあり、バリスタや美容の技術訓練のクラスも今後開講予定です。
昨年夏のキャンプでは工事中だった校舎は、昨年中に完成し、今年再訪すると見違えるような変化でした。その校舎裏にある敷地には、将来的に生徒たちの憩いの場となるデッキを建設する計画があります。今回はその準備として、隣接する沼地からの浸水を防ぐための土のう袋の設置と、敷地全体の整地を行いました。
【1日目】
開会礼拝とオリエンテーションを行い、参加者同士やカンボジアのスタッフと交流を深めました。その後、カンボジアのThe United Methodist Mission Officeの所長から合同メソジスト教会のミッション活動について説明を受け、各担当スタッフから活動の詳細を聞きました。紹介されたのは、以下のミッション活動です。
・Hope Vocational School(技能訓練センター)
・Susanna Wesley House(女子大学生向け学生寮)
・Shine Project(女性向け技能訓練プロジェクト)
・Cambodian Students and Children Fund Organization
(プノンペン市内の貧困地域にある子どもたちのための施設)
・CHAD(農業・保健指導による持続可能な地域支援)
・Project ARK(建設技術訓練プロジェクト)
また、ラオスからカンボジアに派遣されている合同メソジスト教会のインターンシップ生(GMF:Global Mission Fellow)からも、GMFとしての生活やその働きについて話を聞きました。
夕方には 「Azahar Cambodia」を訪問し、ヨガのレッスンを受け、団体について学ぶ時をもちました。 Azahar Foundation、ヨガ、マインドフルネス、芸術を通じて、紛争後のコミュニティにおける変革と癒しを育む国際的な非営利団体です。 Azahar Cambodiaは、トラウマを抱えた若者が、トラウマから脱却し、ヨガインストラクターとして働くためのプログラムを実施をしています。この日レッスンを担当したインストラクターの方も、ヨガを通してトラウマから立ち直った経験があり、その話は印象的でした。
キャンプでは毎晩、一日を振返る「Reflection」の時間を持ち、各々考えたことや感じたことを共有しました。この時間が、豊かな学びと気づきをもたらす時間となりました。
【2日目】
午前中に、Phnom Penh Prek Toal Methodist Churchにて礼拝を守り、参加者は、礼拝で賛美を披露しました。午後は、Russian Marketにて観光した後、Susanna Wesley Houseを訪問しました。寮については寮母のMs.Reaseyから、Shine Projectについては寮の卒業生で担当者のMs.Youlikaから説明を受けました。 寮に入ると、寮生同士が助け合って生活している様子が見てとれ、ここが単なる生活の場ではなく、人として成長する場所であることが伝わってきました。Shine Projectは、当初は若年女性向け技能訓練プロジェクトでしたが、現在は離婚した女性も参加し、対象者が広がっていることを聞きました。また、 Shine Projectに参加し、ダンスの先生になった方の話を聞き、その語り口から、自立した生活を送ることができるようになった喜びを感じました。
その後、参加者は寮生たちと工作やダンスを通して交流し、夕食を囲み、会話を楽しみました。打ち解けた雰囲気の中、同世代同士で将来や学業について会話をしていました。特に目的意識をもって学業に励む寮生たちとの交流は、日本の参加者にとって大きな刺激となりました。
【3日目】
いよいよ、Hope Vocational School での「ワーク=労働」が始まりました。初日はシャベルを使って、砂を土のう袋に詰める作業です。炎天下の中、慣れない作業に戸惑いながらも、参加者は懸命に取り組みました。
午後は、校長のMs.Deleciaより、学校の現状について説明を受けました。5月に終了した第一期の生徒は82名で、第二期は114人の学生でスタートしたこと。授業は、夕方以降にもあり、大学や就職試験に向けて英語力やコンピューターの技能を身につけたい学生や、職場で英語力を活かしたい生徒が集っていることを聞きました。
続いて、宣教師のMr.Patrickより、「Project ARK」について説明を受けました。 Project ARKは、人身取引の被害に遭った方々に建設技術を教え、自立支援をするのと同時に、人身取引被害防止のためのプロジェクトでもあります。
この時、実際に、「Project ARK」に参加したご夫妻から話を聞きました。男性の方は、 Project Arkに参加し、技能を身につけ、より安定的な職を得られるようになり、今ではこの施設管理者としても働いています。奥さんは、バリスタの訓練を受け、Schoolのカフェでバリスタとして活躍し、施設管理も任されています。これまで、ご夫妻は子どもたちを自分の両親に預け、スキルがなくても働ける日雇い労働者として、国内を転々と移動し仕事をしていましたが、今はそれぞれが職業技能を身に着け、子どもと一緒に生活できるようになったと、その喜びを語りました。
また、「Project ARK」のスタッフであるMr. Chey Pisethから、「何一つツテのない地方出身者がプノンペンで生計を成り立たせる苦労を自分自身の身をもって知っているからこそ、 同じ境遇にある人を助けたい」というお話を聞き、その思いの強さに心が打たれました。
その後、「Jars of Clay Cafe」で夕食をとり、オーナーのお話を聞きました。このレストランは、イギリス人宣教師によって設立され、女性たちが調理技術を得ながら働ける場です。働くのは、元人身取引被害者や未亡人女性、また女性蔑視の風潮が根強い農村地帯(地方)出身の女性たちですが、直近では、タイとの紛争により、仕事を失った夫妻も採用されました。オーナー自身、困難な境遇からキリストへの信仰に導かれ、このレストランでの労働を通じて、自らの尊厳を取り戻した経験をもつため、同じような困難の中にあるスタッフのために、惜しまずに手を差し伸べていました。その姿はクリスチャンとしての愛と優しさ、エネルギーに満ちていました。
【4日目】
午前中の労働では、敷地の整地に加え、韓国のメソジスト教会が献品した洋服の仕分け作業を行いました。これらの洋服はリユース品として販売され、その収入は職業訓練校に関わる人々を支えるために用いられます。午後にはKilling Fieldsを訪れ、ポルポト政権下での凄惨な歴史と向き合いました。
【5日目】
労働の後、プノンペン市内の貧困地域にある就学前から小学校低学年の子どものための施設(Cambodian Students and Children Fund Organization)を訪れました。先生方はすべてボランティアで、自らの時間を惜しまず子どもたちを教育しています。 約60名の子どもたちと、折り紙や遊びを通じて交流しました。
【6日目】
労働最終日。敷地全体を整地し、セメント入りの砂を敷く仕上げ作業を行いました。作業後は感謝の気持ちを込めて歌と手紙を贈り、クルーと食事を共にしました。午後には、UNFPA(国連人口基金) カンボジア事務所を訪れました。ウェスレー財団が支援するジェンダー暴力防止アプリ開発プロジェクトについて学び、カンボジア女性の教育格差や児童婚、家庭内暴力といった人権問題についても知見を深めました。 夜は、メコン川沿いのレストランで夕食を食べ、ナイトマーケットに寄りました。
【最終日】
閉会礼拝と、振返りの時間を持ちました。参加者それぞれがキャンプを通して得た思いや、今後自分にできるアクションについて共有しました。
今回のミッションサービスワークキャンプでは、特に合同メソジスト教会のミッション活動について学ぶ機会を得ました。昨年に続き、Hope Vocational Schoolの整備に携わることができたことも感謝しています。 ウェスレー財団では、今後も、国際研修プログラムの一環として、このようなミッションサービスワークキャンプを継続的に計画していきます。
また今年は、キャンプ直前にカンボジア・タイ国境付近において両国軍による軍事衝突が発生し、開催が危ぶまれましたが、カンボジアのスタッフの献身的なサポートによりキャンプの実施が叶いました。スタッフの皆様に格別に感謝申し上げます。
参加者の声
「自分はまだまだ知らないことが多い」という気づきこそ、最大の財産です。そして、異文化理解とは、知識ではなく、実際に同じ時間を共有し、相手の背景や価値観を受け止める過程そのものだと実感しました。これからも学び続ける姿勢を大切にし、国際社会に貢献できる人間へと成長していきたいです。(20歳、大学生)
労働では、私たちがserveすることで、現地の人々からも笑顔を受け取り、互いに与え合う関係が生まれることを実感しました。serveすることは神様に仕え、周囲と深く関わる生き方そのものであると理解しました。この姿勢を、身近な人々や社会に対しても大切にし、人との関わりの礎としていきたいです。(18歳、大学生)
初めての海外、慣れない労働、言葉の壁といった壁があったはずなのに、帰国した時、私の心は不思議とエネルギーで満たされ、平和への思いが強くされていました。 カンボジアの現地スタッフの方々は、人々の隣人となり、まさに“Peacemakerでした。私もPeacemakerとなれるよう、世界の人々と語り合い、交わりをもつ者となりたいです。(18歳、大学生)