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共に考える社会のかたちVol.2 開催報告

~教会が関われるシングルファミリーを応援するコミュニティづくり~

2025年8月26日(火)、弊財団では「共に考える社会のかたちVol.2」を開催し、一般社団法人ハートフルファミリー共同代表理事の西田真弓氏をお迎えしました。
本イベントでは、「教会が関われるシングルファミリー応援コミュニティづくり」について考えました。

開催日時2025年8月26日(火) 15:00-17:30
  場所:ウェスレーセンター1階 /オンライン
 参加者:18名(講師、理事、職員含む) 
 登壇者
西田真弓氏(ハートフルファミリー共同代表理事)
            陣内大蔵牧師日本基督教団東美教会
            立野康博牧師(日本福音ルーテル広島教会)

背景

今回のイベントは、6月7日(土)弊財団で行われた「共に考える社会のかたちVol.1」で、シングルマザーに焦点をあてたドキュメンタリー映画「THE ONES LEFT BEHIND:The Plight of Single Mothers in Japan/取り残された人々:シングルマザーの苦境」の上映と監督によるトークセッションを行ったことが関係しています。

映画の中では、仏教寺院がシングルペアレント家庭を支えるコミュニティ拠点として機能している様子が描かれていました。そこに出演され、イベント当日も会場に足を運んでくださった西田真弓氏との対話を通じ、地域でシングルペアレントを応援するネットワークを広げるには、キリスト教会との協働が必要であることが分かりました。
そこで弊財団としても、教会とのネットワークを広げる具体的な機会を模索するために、本イベントを実施しました。

ハートフルファミリーの取り組み

西田氏から、ハートフルファミリーの多岐に渡る活動の中から、設立10年目の現在、「頑張れる」が循環する社会を目指す活動について伺いました。

支援が挑戦につながり、挑戦が社会を変えていく。そうような循環を作るために、歩んでこられた活動は、弊財団のビジョン「Be Empowered for Transformation」とも通じるものでした。

シングルペアレント家庭は苦労が多いものの、決して可哀そうな存在ではなく、むしろ社会を変えていく存在であること。そのために応援の仕組みをつくることが必要であることを強調されました。ハートフルファミリーの活動は支援をする側、受ける側双方の意識を変えるヒントに満ちています。

「支えられる側」から「支える側」へと変わっていける社会の仕組みを作るために、挑戦のきっかけを届ける支援は、まさに自立を目指す支援であり、本来のその人の力を最大限に応援する仕組みであると語られました。

さらに現在力を入れているプロジェクトについてもご紹介いただきました。

①555日のチャレンジ:収入を上げることにコミットしていく
②High Five Christmas(心の応援):2017年から実施している子どもたちへの支援
③街HUBプロジェクト:地域での頼り合いの社会づくりを目的に、寺院・教会と協働

 

 

街HUBプロジェクト

特に③街HUBプロジェクトについて、地図から「消えない場所」である寺院や教会を拠点に、シングルペアレント家庭を応援する活動を具体的にご紹介いただきました。

1.イベント開催などの場の提供
  絵本の読み聞かせや親子の学びの場としての活用、母の日のイベント
2.街HUBパントリー活動(場&お渡し)
  物資供給を受け、それを地域でシェアする仕組み
3.物資の供給の受入れ(希望時)
4.古本回収ポスト設置

2017年に発足した街HUBプロジェクトでは、地図の中でなくならない場所として、寺院や教会と共に応援の輪を広げる活動を始められ、地域での新しい頼りあいの社会づくりとして、地域の人が訪れる機会となり、そして地域の人を応援する場所として街HUBを500カ所広げていくことを掲げています。

実際にHUBプロジェクトに参加されている、東美教会の様子も動画で紹介され、楽器が必ずあり音楽を奏でることができる教会ならではの環境が、子どもたちにとって安心して楽しい体験ができる場所となりうることも示されました。

また、ハートフルファミリーは、親の経済的な自立を重視しており、そのための具体的な方法を様々な形で提供しています。稼ぐ力を身につけ、未来を前進していくためのサポートの一つが街HUBプロジェクトです。

*シングルペアレント家庭の現状についてはこちら

年末年始、街中がキラキラしている季節がシングルペアレント家庭にとってとても辛いといったお話は、一人一人の心に迫るものがありました。特に教会にとって、クリスマスは大切な出来事ですが、主のご降誕をお祝いをする一方、辛いと感じていらっしゃるご家庭が沢山あるという現実を、キリスト教会は知る必要があると感じさせられました。

事例紹介

西田氏の講演の後、、街HUBプロジェクトに参加している教会から具体的な事例紹介がありました。
まず、日本基督教団東美教会(東京都武蔵野市)の陣内大蔵牧師から参加の経緯と、教会として一歩踏み出してからの継続的な取り組み、さらに自治体とのつながりに広がっていく様子が紹介されました。

また、オンラインで、日本福音ルーテル広島教会(広島県広島市)の立野康博牧師にもご参加いただき、教会ですでに実施されていた子ども食堂と街HUBプロジェクトにどのように関われたのかを伺いました。教会付属の保育園は地域に知られている一方で、教会自体は認知度が低い現状に触れ、子ども食堂の取り組みを通じて教会が地域に開かれていく様子を語ってくださいました。教会の中で考えている地域との繋がりと、地域が求めていることには乖離があることも語ってくださいました。

 

西田氏は、「経済的な自立のために最も重要なのは、「時間」と「子育て」との戦いであり、身近な人とどのようにつながるかが大切である」と語られました。そのために教会や寺院は、地域とつながることのできる貴重な場であり、「シングルファミリーがホッとする空間を感じる「場」の力がある」との言葉が印象的でした。

今回のイベントには、様々な教会の方が参加され、教会がどのようにシングルペアレント家庭を応援する活動に関われるのかを共に考える機会となりました。
本シリーズは今後も継続して実施してまいります。

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