セミナー・講演会
共に考える社会のかたちVol.1「THE ONES LEFT BEHIND:The Plight of Single Mothers in Japan/取り残された人々:シングルマザーの苦境」映画上映&トーク開催報告
2025年6月7日(土)に「共に考える社会のかたちVol.1」として、ドキュメンタリー映画監督であるライオーン・マカヴォイ氏をお招きし、監督が製作した映画「THE ONES LEFT BEHIND:The Plight of Single Mothers in Japan/取り残された人々:シングルマザーの苦境」を上映しました。上映後は、参加者同士で感想のわかちあいをし、監督からお話を伺いました。参加者は34名でした。
開催日時:2025年6月7日(土) 14:00-17:30
場所:ウェスレーセンター1階 101
参加者:34名(理事・職員含む)
また今回は特別に、西田真弓様(シングルファミリー独立支援団体である一般社団法人ハートフルファミリー共同代表理事)と、佐藤笑美里様(一般社団法人シンママラボ代表理事)が会場に来てくださり、スピーカーとして、より具体的なお話をお伺いすることができました。
ドキュメンタリー映画「THE ONES LEFT BEHIND:The Plight of Single Mothers in Japan/取り残された人々:シングルマザーの苦境」は、日本の子どもの貧困、シングルマザーの貧困が人々に「隠されている」ことへの外国人監督の素直な違和感を映画化した作品です。実際、2019年に内閣府が公表した調査データによると、日本における子どもの貧困率は7人に1人で、更にひとり親世帯となると約半分にまで増加します。
映画では、当事者の方々のインタビューをベースに、シングルマザーが置かれている苦境の原因を紐解いていきます。戦後の経済成長による家業からサラリーマンへという労働形態の変化、それに伴う家族の変化、地域社会の希薄化、男女や正規・非正規雇用の賃金格差、また離婚後の養育費未払い問題といった法制度についても触れられます。
シングルマザーが置かれてしまう厳しい状況が、個人に起因するものではなく、社会の様々な問題が折り重なって生まれていることが伝わってくる内容でした。
上映後のわかちあいでは、1グループ4~5人になって、参加者皆が率直に映画の感想を話し合い、また互いの話を聴き合いました。会場には、多数の当事者の方もいらっしゃり、話は尽きませんでした。
その後の監督とのQ&Aセッションでは、オーストラリア人の監督がなぜ日本のドキュメンタリーを撮るに至ったか、また映画の舞台裏について丁寧にお答えていただきました。
オーストラリア人だからこそ、日本社会のすべてが「?」であること、そこから映画を作り上げていることをお話くださったことが印象的でした。今回の映画については、知り合いのシングルマザーが、経済的に厳しい状況の中で周囲に助けを求めなかったことへの違和感が製作のきっかけだったと言います。
Q&Aセッションでは、西田真弓様、佐藤笑美里様も、スピーカーとして登場くださり、ご自身のことと、それぞれ取り組んでおられる支援事業についてお話くださいました。様々な困難の中で、同じ境遇にあるシングルマザーの人々に手を差し伸べる西田様、佐藤様のお姿と言葉には、周囲を明るくする力があり、参加者は、様々な社会問題を認識させられると同時に、お二人の存在に励まされ、力づけられたひと時でした。
現状、多くのシングルマザーが苦しい状況にあることを踏まえ、それぞれが自らの生活の場にあって、助けの手を差し伸べることができることを願い、会は終了となりました。
ウェスレー財団では「女性のエンパワメント」、「次世代の育成」、「社会課題解決」を3つの柱として掲げ、日本の地域社会、世界で社会解決のために働くリーダーの育成をミッションにしています。
今回は、日本におけるシングルマザーに焦点をあてた映画を通して、困難の中に置かれている人々を知り、日本の社会問題について考える機会をもちました。今度も、様々な角度から、社会について考える機会を提供してまいります。