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NY Social Justice Seminar – Part 2 2016年2月20日-27日

NYで充実したプローグラムが続いています!4日目と5日目の報告です。

参加者のさんの宮澤初穂さんの4日目の報告
今日は,昨日までの研修から一変,人身売買問題に関わっている3団体(Damayan,International Labor Organization:ILO,ECPAT-USA)の方々からそれぞれ活動報告を受け,学びました.いずれも同様のカテゴリーで活動を行っていますが,UNの一部として国際的にも大きな力を持つILO,世界中に活動拠点を持つ国際NGO団体ECPAT,草の根レベルの活動にも関わらず徐々に活動を広げ始めているDamayanと,かなり気質の違う団体です.3団体全て紹介したいところですが,今回はその中でも,ECPATとDamayanの活動の一部をご報告します.
Damayanは,主に人身売買により渡米し,家事労働者として労働搾取の被害を受けた方を助ける活動をしています.被害者は,早朝から深夜までの長時間労働,遂行できない程高い要求,雇用主の監視なしの外出禁止等の行動的制約を与えられ,それに対して支払いが月十数ドル程度か,無給の場合もあります.さらに,大きな問題なのは,雇用主が,外交官など,国際的にも社会的地位/責任が非常に高い人たちであったことです.国の代表や手本として扱われる立場である人がこの過酷な労働環境を作り出したことは衝撃的事実であり,日本もまた加害者として関わったことが挙げられました。
Damayanの最も特徴的な点は,メンバーが,かつて家事労働者として過酷な環境で労働させられていた,人身売買の被害者であることです。すべての種類の人身売買にも共通することですが,一度人身売買の被害を受けてしまうと,暴力や危険労働による身体的ダメージ以外に,人権をはく奪され,人として扱われないことで容易にはケアできない精神的ダメージをも受けます。経験として,思い出したくもないことなのに,他の被害者を救うために声を上げることは非常に大切で,同時にとても勇気のいることです。今回も,Damayanメンバーの中で実際に被害を受けた方からお話を伺うことができました.現在Damayanの活動は小さく,NY市のみに留まっています。人材・資金ともにまだまだ乏しい彼らの活動がさらに広く知られればと思います。
Damayan:http://www.damayanmigrants.org/

ECPAT(End Child Prostitution,child pornography And Trafficking of children for sexual purposes:子どもの売春・ポルノ・性目的の人身売買根絶)は,世界中に活動拠点を持ち,特に子どもの性的人身売買問題に取り組む国際NGO団体です.日本でもECPAT-JAPAN が活動を続けており,事前研修でスッタフの方を講師に招いて学習を深めていました。
現在,性的搾取はインターネット上に行われることが多く、この問題を阻止することが難しくなっています。ECPAT-USAでは,人身売買の現場に密接に関係するホテル・航空会社などの企業と提携し,売春が起こる前に阻止できるよう社員の人身売買に関する事前研修を推進しています。
事前研修を含め,人身売買根絶のためのNGO・NPOの働きを主に学習しましたが,NGO・NPOのボランティア的な活動のみには当然限界があり,企業も同時に人身売買問題根絶に向けた活動を行う意義は非常に大きいと感じました。

the code.org:http://www.thecode.org

今回の研修を通して,私たちの学習がウェスレー財団・合同メソジスト教会女性部の皆さまをはじめ,非常に多くの方に支えていただいていると感じています.この機会を与えていただいたことに感謝して,私の報告とさせていただきます。

参加者のさんの田代希和さんの5日目の報告
New York Social Justice Seminar 5日目を迎えました。充実した時間が過ぎるのはあっという間です。今回の機会は私だけでなく、他の国からの参加者にとっても貴重で他では経験の出来ないものとなっています。
今日はGEMSという組織の方から午前中お話を伺いました。この団体は主に18歳以下の子どもで、商業的性搾取の被害者の救済を目的に活動しています。組織代表の方が強調していたのは、(特定の人物だけでなく)私たちは誰でも性的搾取の対象となる事です。言い換えると全員が搾取の危険性に晒されているという事実があります。注意や警戒の怠り、うつ病、家庭崩壊、孤独、いじめ等が例として挙げられます。個人的であり一方で環境的、社会的な要因があるのです。
そこから心理的、感情的、精神的、身体的、社会的影響が生じます。これらの影響は互いに複雑に関係しており、また被害者の女性たちの心の奥深くに一生消えない傷を残してしまいます。

GEMSの提案は、この問題に対して理想的に自身を変えていくための段階を示すことです。一番特徴的だったのが、再発に注意を払うという点です。被害者を心理的にも身体的にもどれだけ援助しても、この残忍な搾取が起こる可能性は消えないのです。サポートは人を変える事は出来ません。被害者自身が自分から変わらない限り、この商業的性搾取問題はこの世界から無くならないのだと強く感じました。
お昼休憩の後は、The Peace Poetが私たちの学習の場であるCCUNに来てくださいました。この音楽家たちは2005年から音楽(歌詞やリズム、詩等)の力を通じて生きている事をお祝いし、深く考え、擁護や支持をしていく大切さを拡げています。
ラップの曲を耳にした際、この世界70億人の中にいる1人でちっぽけな存在である私でさえも、様々な力を持っているのだという事を感じさせられました。時々私は何なのかとか、自身の存在意味を不安に思い自分を見失ったりする事もあります。しかし、私の力についての詩を書く事で、尊敬の念や自分を大切に想う気持ちが生まれ、心が温かくなりました。この、自分への関心の向け方や観点は今まで考えた事がなく、凄く新鮮で斬新でした。おそらく他のメンバーも同様の感想を抱いたと思います。私はこの先も、今日の価値ある素晴らしい学びを忘れません。
実際、今日の天気は霙のようなものが降っていて気温も氷点下程寒かったです。しかし、私たちは人身取引を巡る数多くの知識、考え方、生き方について深く吸収し習得しました。今日の霙や雨粒はまるで新たな知識のようでした。そう考えると私は滞在中のこのNYの天気もなんだか良いものに感じてきます。明日からもたくさんの雨粒を出来る限り習得します!