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2022年度開発・育成活動助成金交付事業のご紹介(SALASUSU)

ウェスレー財団では、助成金事業の一つとして、「開発・育成活動助成金」を実施しています。この助成金では、日本、アジア・太平洋地域で2年以上すでに実施されている継続的な事業に対し、助成金を交付しています。この助成金の交付団体の一つである、特定非営利活動法人SALASUSUの活動をご紹介します。

SALASUSUは、認定NPO法人かものはしプロジェクトのカンボジア事業部が2018年にスピンアウトしてできた、社会的に脆弱な方への教育を専門とするカンボジア拠点のNGOです。 

2008年から運営する工房で最貧困層出身の女性達に雇用と教育を提供する職業訓練を展開し、本人達が主体性を発揮して人生を歩んでいくことを目指し、ライフスキル(=家族や職場の中で自らを管理し、人との関係を豊かにし、問題を解決していくための基礎的な非認知能力)の養成に力を入れてきました。工房で製作した商品をエシカルファッションブランドとしてカンボジア、日本、台湾で販売しソーシャルビジネスとして活動の資金の一部を創出しています。2018年からはライフスキルトレーニングのカリキュラムとトレーナー養成の手法を政府、他NGO、企業へ提供する事業を開始し、現在はカンボジア労働省傘下の職業訓練校のトレーナー養成や、カンボジア人学生のライフスキルを育むインターン機会の創出のための実証実験と政策提言などを行っています。また、工房の訪問者対応として始まったツアー事業でも日本人の中高生を中心とした多くの訪問客を受け入れ、現在もオンラインで開発教育やリーダーシップの学習プログラムとして実施しています。

活動地の課題

カンボジアは近年目覚ましい経済成長を遂げており、都市部ではインフラや教育システム、雇用機会の増加など発展が著しい一方で、経済格差は拡大し、農村部や郊外にはその成長の影に取り残される人々がいます。カンボジア全体の貧困率は年々改善がみられるものの、農村と都市での格差は3倍ほどあり、農村地域へのサポートが急務となっています。

SALASUSUがターゲットとする女性たちは農村部の最貧困層出身の小・中学校を中退した17~23歳の女性たちであり、その多くは基礎教育を十分に受けることができなかったり、家族という小さなコミュニティの中で長く生活してきています。そのため、学校で培う知識や、自分で論理的に思考して判断する力、人に相談して適切な意思決定をする力、他人と良い関係性を築く力、そもそも自分自身の意思を持つ力などの点において課題を抱えやすく、その結果適切な就職の機会を継続できなかったり、その機会を逃しやすく貧困のサイクルから抜け出しづらい状況に置かれています。 

さらに、コロナ禍でシェムリアップの観光産業が大打撃を受けたこと、農村にはタイから出稼ぎ労働者が一気に帰還したことにより、都市・農村を問わず仕事の機会が急激に減少しています。その結果、現金収入が十分に得られず借金の返済が難しくなり、条件の悪い日雇いの仕事に就かざるを得ないなど、経済状況は悪化しており、支援の緊急性が高い状態が続いています。

開発・育成活動助成金交付事業の内容

SALASUSUは、2008年からカンボジア・シェムリアップの農村で小中学校を中退し出稼ぎや日雇いの仕事をせざるを得なかった女性達を累計で270人以上雇用し、ライフスキル教育を提供してきました。

2022年度開発・育成活動助成金交付事業では、今まで実施してきた職業訓練プログラムをさらに向上させるため、ライフスキルトレーニングカリキュラムの改善と工房卒業後の女性たちが継続して学び合い・励まし合いができるコミュニティ作りを実施します。

今年度の活動の進捗や実施後の報告については、今後も記事を掲載いたしますので是非ご覧ください。

●SALASUSUのHPはこちら

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