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2022年度開発・育成活動助成金交付事業のご紹介(シャプラニール=市民による海外協力の会)

ウェスレー財団では、助成金事業の一つとして、「開発・育成活動助成金」を実施しています。この助成金では、日本、アジア・太平洋地域で2年以上すでに実施されている継続的な事業に対し、助成金を交付しています。この助成金の交付団体の一つである、特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会 (以下「シャプラニール」と記載)の活動をご紹介します。

シャプラニールは、「すべての人々が持つ豊かな可能性が開花する、貧困のない社会の実現」を目標とし、バングラデシュ・ネパール・日本で貧困問題解決に取り組む国際協力NGOです。

活動地の課題

バングラデシュの首都ダッカには約11万人の家事使用人として働く子どもがいると言われています。家事使用人として働く子どもの多くは少女で貧困を理由に農村から出てきて働き先に住み込み、料理、掃除、洗濯、子どもの世話などに一日中追われ、長時間労働に従事しています。その結果、学校に通い教育を受ける機会が奪われてしまっています。また、家庭という閉ざされた環境下で雇い主からの暴力や性的嫌がらせを受けやすく、劣悪な労働条件に置かれるケースも少なくありません。

この問題の背景として、バングラデシュ社会では貧困層の子どもが家事使用人として働くことが残念ながら一般的で、教育を受けている中流・上流階級の中でも、子どもが働くことに疑問を持たない家庭が多いという現状があります。また、少女達の保護者も、教育の必要性を十分理解しておらず、口減らしなどを目的に少女達を働きに出すケースが多いようです。このような社会的、構造的な要因が複雑に絡み合っているため、児童労働から抜け出せずに教育を受けられない子どもが続出し、子どもの権利が侵害される状態が続いています。

2015年末には14歳未満の子どもを家事使用人として雇うことを禁止し、その労働環境改善を促す「家事使用人に関する権利および福祉政策」が閣議決定されましたが、まだこれらの政策、法制に対する市民社会の理解が乏しく、根本的な問題解決には至っていません。さらに、シャプラニールが実施した現地調査では、COVID-19の影響で新しく働きに出ている少女が明らかに増えていることも確認されています。

開発・育成活動助成金交付事業の内容

シャプラニールは、この社会課題が注目される前の2006年から、家事使用人として働く少女たちへの支援活動を実施してきました。毎年約140名の少女を対象に支援を行っていますが、児童労働に対するバングラデシュ社会の意識がなかなか変わらず、農村部からダッカに働きに出る少女は続出しておりニーズが絶えない状態です。

2022年度開発・育成活動助成金交付事業では、バングラデシュの首都ダッカで働く家事使用人の少女たちの権利を守る活動を行います。具体的な活動内容は、家事使用人の少女が多くいる地区(公務員住宅やスラム街近辺)にて支援センターを3つ運営し、簡単な文字の読み書き、保健衛生等の基本的な教育を得る機会を提供します。教育支援のほか、14歳以上の少女が将来の職業選択の幅を広げられるようになるために、手工芸品づくり、パーラー(美容)、縫製等の職業訓練を実施します。更に、「子どもが働くのが当たり前」というバングラデシュ社会全体の意識を変えるため、雇用主、保護者、地域住民等への働きかけも行います。

今年度の活動の進捗や実施後の報告については、今後も記事を掲載いたしますので是非ご覧ください。

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