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2021年度開発・育成活動助成金交付事業のご紹介(テラ・ルネッサンス)

ウェスレー財団では、助成金事業の一つとして、「開発・育成活動助成金」を実施しています。この助成金では、日本、アジア・太平洋地域で2年以上すでに実施されている継続的な事業に対し、助成金を交付しています。この助成金の交付団体の一つである、特定非営利活動法人テラ・ルネッサンスの活動をご紹介します。

テラ・ルネッサンスは、ウガンダ・ブルンジ・コンゴ・カンボジア・ラオス・日本の6か国で活動を展開するNGOです。地雷・小型武器・こども兵の課題を専門としており、これらの課題の根本的な解決に向けて紛争被害地での国際支援と、国内外での啓発・政策提言の両輪による活動を実施しています。

2021年度開発・育成活動助成金の交付事業では、カンボジアの北西部に位置する地雷埋設地域の村で生活する貧困層を対象に環境再生型農業を普及させ、環境を保全しながら持続的な生計が営めるようにし、コミュニティ・レジリエンスを向上させる活動を実施しました。

活動地域の村では、内戦中は地雷が大量に埋められた地雷ベルトの中にあり、2012年ごろまで村人の生活範囲内にも地雷原が残っていました。現在では、山の上などの人々があまり入らない地域以外の地雷は撤去され、安全に生活できる環境ですが、農地を持つ人々はキャッサバやリュウガン、トウモロコシ等の換金作物の栽培に依存し、農地が無い人々は、地主の小作人として日雇い労働で日当を稼ぐか、タイへの出稼ぎで生活しています。

村ではすでに2016年から家畜銀行の設立やモデルファームとファーマーズマーケットを建設し、環境再生型農業を普及する活動が行われています。しかし、2021年の時点ではまだ村の大半の貧困層が収入に繋がりやすい家畜飼育の支援を受けておらず、コロナ禍でタイへの出稼ぎもできないことや、頻発する異常気象による換金作物の被害で買い取り価格が下落することで多額の借金を抱えている村人も多くいました。

それらの課題に取り組むため、2021年度は、まず各世帯の生計を向上させ、コミュニティとして自立して運営ができる体制を整えるため、家畜銀行からの家畜の貸出と家畜飼育技術訓練の提供や、家畜飼料の製作と販売の支援、グローバル経済や農薬のリスクに関するワークショップを実施しました。

家畜銀行は、ヤギ・豚・鶏などの家畜を貸し出し、繁殖した後に同数を返却してもらう仕組みで運営されています。貸し出しをする世帯には、家畜小屋などの資機材の提供と、農業専門家による自然農法での家畜飼育技術訓練が行われました。本事業は自然環境に配慮した有機農業による飼育方法が用いられています。家畜の糞を有機肥料として野菜や作物の栽培に循環させ、栽培された作物や野菜から飼料を作り、それを家畜に与えるというサイクルです。また、これまではお金にならないため役に立たないと考えられていた現地に自生する野草も、発酵させると家畜の病気の予防や治療に効果的な発酵液として使うことができるそうです。

当財団からは、事業実施に必要な交通費、物品購入費、施設建設費等に助成金を交付しました。本事業は、2022年度も引き続き助成する予定です。

 

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